2015年11月24日

ファインモールド社の社長,鈴木邦宏氏のトークショー

未完成チームの展示会に行ったら,たまたまファインモールド社の社長,鈴木邦宏(ことえりが一発変換!!)氏のトークショーをやっていました。ファインモールドといったら,旧軍の戦車キットのラインアップがすごかったり,STAR WARSのプラモと言ったら,おもちゃじみたものしかなかった時代にスケールモデル然としたキットをリリースしてくれたり,彗星のキットの部品の合いが悪かったり,ときどきMODEL GRAPHICS誌と組んでマガジンキットを出したり,艦船モデルのディテールアップに欠かせないナノ・ドレッドシリーズを出したりしているあのファインモールドです。以下,社長さんのお話をかいつまんで・・・

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集まった作品は,130あまり。鈴木さん自身,これだけの完成品が集まったのを見たことがないそうです。今回の展示では,ファインモールドの製品の8割ぐらいを網羅しているとのことです。

<創業>
最初は,LSなどの金型製造の下請けをしていたそうです。当時,模型会社の企画担当の人に模型や飛行機,戦車などのマニアの人は少なく,そのような人達は,同業の人達から逆に「マニアや!」などとからかわれていたそうです。それなら自分にもできる・・・と・・・。

タミヤの人形改造コンテストの参加者としてのつながりから鳥山明氏デザインの"リーザ"を発売。
そのうちに資金が枯渇して来て持ち金が10万円に・・・。資金が貯まるまでと思っていたら,いつまでも創業できない。模型作りといっしょ。塗料がない,資料がないと言っていたらいつまでも制作に取りかかれない。

1987年ここで諦めたら人生,後悔すると思って創業。
1988年最初の製品は,ビニール袋入りのドイツ軍の兵隊4体セット。
   ガレージの車を外に出してガレージキットを作っていた。
1990年フルキットの第1号は,90式艦戦。
1992年95式戦車発売。

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1/144 MILLENNIUM FALCON これほどのものが絶版とは・・・バ◯◯◯のばか〜!!

<金型>

今,日本の模型メーカーで金型を自社製作しているのは,タミヤとバンダイとうちだけ。他は,安いからと中国などに外注している。一番でっかい会社と一番小さい会社だね。金型は,自社製作がよい。だって,自分の理想とするものを他人に作ってもらっても自分の理想の物にならないでしょ?

(レーザー加工機などを導入しているので)「機械が好きだね。」とからかわれるけれど,「何を言っているんだ。」と思う。道具は大事。

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1/72 Y-WING これほどのものが絶版とは・・・◯◯◯イのばか〜!!

<戦車と飛行機>

金型を設計するのは,戦車の方が難しい。飛行機は,簡単だけれどプロポーションを似せるのが難しい。0.05mm違っていてもバレてしまう。戦車は,少々違っていてもバレない。でも,実車を測っていて50mm間違えてしまったことがあった。仕方なく,金型を作り替え,発売が2ヶ月延期になった。

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1/35 三式中戦車(四式の砲塔を装備)

<筋彫りとモノグラム>

モノグラムは,大きめに立体を作っておいてから金型に加工して行く方式を採っている。そのため,筋は金型に彫り込んでいくことになる。だから,成型品の筋は,凸になる。この方式は,立体感が素晴らしいが,部品の合わせ目のエッジが甘くなるのでキットを組んで行くと隙間ができ易い。「モノグラムが(部品が)合わない」というのはそういうわけ。

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1/35 九四式軽装甲車

<筋彫り>

幅が0.1〜0.15mm現在の標準
  0.2mm 太い
  0.3mm マッチボックスの運河彫り

この筋彫りにも流行がある。

昔のモデラーは,あまり太くなく,深くないものを好んだ。

  実物は,そんなに太くて深い溝になってはいないから←実物重視

現在は,深いものが好まれる。浅いとわざわざ掘り直したりする。

  墨入れをしたりするのがはやっているので←作品としての見え方を重視する。

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1/48 ROSTOCK F2B 散香マークB 映画"SKY CROWLLER"に登場する架空機です。

<ジェット機>

マガジンキットでトム・キャットを出す話をされたときに「ジェット機なんて作れるのかい?」とか「ハセガワのキットを超えられるのかい ?」とか言われて「腹たつな〜。」と思った。作ってみて,完璧なものができたと思っていたら・・・実は,気にくわない所が2カ所みつかったけれど内緒。できた後で完璧でないところに気付くのは,プラモを作っていてもよくあるでしょ?

実際,トム・キャットは似せるのが難しい。どこまでが胴体でどこまでが主翼か掴みにくい。ファントムなんかは素直な方。トム・キャットは,がたがたで無茶苦茶な形をしている。図面をかくとき,日本人には(美しくないので精神的に)あの線は引けない。

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1/72 試製 景雲

<常識?>

●初版は,成型がきれい

そんなことはない。むしろ,初版以降に不都合なところを修正していたりすることがある。タミヤのMe◯◯◯なんかは,初版とそれ以降では形が違っている。

●金型のずれがある

ない。何万セットも成型するのにずれなんかあったら製品自体が作れない。

<マーケットリサーチとこれから>

うちはしない。マーケットリサーチの会社が売り込んでくるけれど「うちはいい。」と言っている。みんながよく知っているものならたくさん売れるだろうけれど,みんなが知らないものを「知らないだろう?」と言って出すのが楽しい。ステルス機なんかが現用機のはやりだが,あんな形のものが欲しい?自分は欲しくない。ハセガワさんが出すのは,"飛行機のハセガワ"だから。あそこは,飛行機を愛している。

来年は,春のホビーショーで1/35と1/48で新しいのを出せると思う。ホビーショーでは,濃いお客さんが来て,その声を聞けるのがいい。「昔のファインモールドは毒気があったよなぁ」などと言われ(懐古され)ないようにこれからもやっていく。

他に自分の模型歴や金型設計,コンピュータの導入,ナノ・ドレッドの話など,1/48彗星の自虐ネタを交えながら(20年前に設計した工業製品を売り続けるのは,模型会社だけ,初期の製品と今の製品を比べられるのは苦しいとのこと)1時間たっぷりお話を聞かせていただきました。
posted by 五六式 at 02:16| Comment(0) | TrackBack(0) | お出かけ
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