<実機について>
イギリス海軍の空母搭載機として計画されながら開発中止となった超音速V/STOL機ホーカーP1154の代替機として,マクダネル・ダグラス社のF-4JファントムIIをイギリス向けに改修した機体。エンジンをロールス・ロイス製のスペイに換装し,出力と航続性能の向上を図り,アメリカの空母より狭いイギリスの空母に適応させるために,機首が折りたためるようにして格納庫への収容を容易にし,主脚が40インチ(約1m)伸びて離陸時に迎角を大きくし,より短距離で発艦できるようにするなど,各部に改良を加えている。
このイギリス海軍向けのファントムIIは,F-4K(Jの次,また,KINGDOM=英国のK)となり,イギリスでは,それをPHANTOM FG.1と呼称した(Fは,戦闘。Gは,地上攻撃を意味する。)。ファントム FG.1は,1970年より,DHシービクセンの後継機として空母アークロイヤルで運用され,1978年にアークロイヤルの用途廃止に伴い,イギリス空軍に移管された。

ハセガワやフジミの1/72スケールのファントムのキットの箱より大きい箱の中に入っています。デカールは,3種類でそのうちの一つは,よく知られている機番007でΩのマークがついた機体のもの。
<キットについて>
スペイエンジン搭載機の最新キットです。年内には(ホントかな?),空軍型のFGR.2のキットも出るようです。駐機中,発艦直前,飛行中の三つの状態の中から一つを選択して組み立てられるようになっています。

写真では伝わりにくいですが,この部品がエロい(貶してはいません。褒めています。)です。AIRFIX,どうしたんだ?!

主要な部位を組んでみました。水平(下反角がついていますが)尾翼の後縁が片方,わずかに欠けていました。2個買ったうちのもう1個のキットは,きちんとしていたのでたまたまでしょう。サンドペーパーですぐには気づかないようならしたのですが,指でなぞると分かっちゃうんです。人間て怖い。この水平尾翼は,発艦時と飛行中で角度を選べるようになっています。
複雑な形状の胴体を再現したり,吸気口のダクトを再現したりするためにたくさんの部品に分割されています。組みにくくはないのですが,精度がいまいち・・・。機体と主翼を取り付けるときには,機体の方を少し広げてやらないと隙間ができます。
写真に撮っていませんが,コクピット内もよくできています。エッチングパーツがなくても満足する仕上がりが期待できるでしょう。

キャノピーは,ぴったり合います。


垂直尾翼は,2種類入っています。外翼も2種類(通常とスラット展開)選択できます。この外翼の取り付けの精度がよくありませんが,取り付け用のダボを削ると解決します。また,武装は,スパロー,サイドワインダー,通常爆弾,マトラ・ロケット弾ポッドと,てんこ盛りです。
仕上がりをいろいろ選べ,部品の構成にも工夫があるよいキットだけれども,精度を出すためには,一人一人の工夫が必要かな・・・という感じです。