ポーランドのIBGより1/72スケールで三式中戦車チヌがリリースされました。
三式中戦車のキットと言えば,ファインモールドの1/35スケールのモデルが一般的です。ミニスケールの1/72では,完成品しかリリースされていなかったようで,今回、IBG(1/72スケールで89式や94式もリリースしています。)からキットが出るというのは非常にありがたいことです。
五六式は,小学生の頃,三式中戦車のキットを組んだ記憶があるのですが,どのメーカーのどのようなキットだったか定かではありません。LSから1/50でゼンマイ動力で走るキットがあったということは分かっているのですが,はたして,それが件のキットだったかどうか・・・。ともあれ,五六式は,「プラモによって三式中戦車の存在を知った」ということは確かなことです。
<実車について>

三式と言えば・・・戦闘機!!・・・じゃなくて!!
・・・機龍!!・・・じゃなくて!!
・・・中戦車!!・・・かな・・・?
第二次世界大戦において,日本陸軍にとって戦車とは,敵陣攻略のために歩兵をサポートする軽快で小回りに優れた装甲車両という位置づけであった。しかし,戦況が進むにつれ,敵戦車と交戦し,それを打倒することが求められるようになり,従来の戦車では,火力、装甲ともに不十分であることが明らかになった。具体的には,米軍のM4シャーマンを撃破できる戦車が求められたのである。
この要求に応えるべく,開発中だった四式中戦車や五式中戦車の戦力化が間に合わないという事情から,一式中戦車の車体に九〇式野砲をベースとした75mm砲を搭載した三式中戦車が開発されることとなった。
三式中戦車は,強力な戦車砲を搭載するには,車体がやや能力不足でバランスがよい戦車とは言えないが,従来の日本陸軍の戦車と比べて対戦車戦闘能力は,著しく向上している。しかし,M4シャーマンと正面から撃ち合って打倒するほどの攻撃力や防御力を獲得することはできず,本土決戦のため内地に温存されたまま,敵軍と交戦することもなく終戦を迎えた。
<キットについて>

大きな箱に部品がちょっぴり・・・。←ランナーが何枚も重なっているのでそう見えるだけです。
デカールの袋には,マフラーのガードなどを再現するエッチングパーツが入っています。

同社の1/72スケールの飛行機キットと同じ大きさの箱を使っています。合理的ですね。
戦車より飛行機の方が大きいので箱が大きいと感じてしまうわけです。

日本のユーザーに向けて,組み立て説明図に日本語の注釈が添えられています。
塗装指定は,タミヤカラー、Mr.カラーを含む6社のカラーナンバーで指定してあり,大変便利です。

主要部品を組んでみたもの
不自然に砲塔が大きく感じますが,もともと三式中戦車とはそういう戦車なのです。
同社の1/72 ストリッツヴァグンのキットの車体は,箱組で組み立てていましたが,三式中戦車のキットは,スライド金型を用いており,部品の段階で箱組が終了しています。

キャタピラのモールドも転輪もスライド金型で一発抜きです。また,足回りの部品の保護のために支柱(組み立て時に切り取ります。)が付いています。
<ボックスアートについて>
お城に戦車・・・日本のお城は,軍の司令部でも戦略目標でもありません・・・が!!
そんなことは,どーでもよいことです。ディ〇ニー映画"〇ール・〇ーバー"の無知や悪意とは無縁の素晴らしいボックスアートです。実際に三式中戦車が駆り出されたとしたら,そこは,地獄のような戦場になっていたことでしょう。このボックスアートは,ファンタジーの世界を描いているのです。

柴わんこに餌をやっている兵隊さん。柴わんこは,もちろん,軍用犬ではないわいな。

微笑みながら横に立っている兵隊さん。ちょっとイッセー尾形に似ています。
ステレオタイプの醜い日本兵でなく,普通のおじさんの顔です。日本って先の大戦ではドイツの味方(ということは,ポーランドの敵)だったんだよ・・・。単なるユーザーへの媚びでは,このような美しい絵は描けないと思います。それを思うと,涙が出てきました。東京オリンピックでは,ポーランドのチームも応援します。