久しぶりにたまごひこーきを買いました。1978年発売開始のシリーズですが,初期のものは,ジェット機のインテークからエグゾーストまで筒抜けだったり,ディフォルメがいまいちだったり,と,がっかりすることも多かったのですが・・・今回,何かと話題が多く,たまごひこーきに向いていそうなMV-22を購入してみました。決してパッケージの女の子が可愛いからじゃないですよ・・・きっと・・・。
<ティルトローター>
この世に飛行機が生まれて100年あまり・・・。飛行機は,速い!!美しい!!そして,何より空を飛べる!!・・・当たり前ですが・・・何せ,
溝だって,用水路だって,川だって,湖だって,海だって,大洋だって,遠回りしないでまっすぐ飛び越してしまう。橋もいらないし,船よりも速い。
丘だって,山だって,山地だって,山脈だって,峠越えの苦労もなく飛び越えてしまう。オークやトロルや人食いグモに怯えながら暗い森を横断しなくてもよい(ビルボ様ご一行,お疲れさまでした)。松本先生の作品では,魔女に阻まれてしまいましたが・・・。
でも,そんな飛行機にも大きな欠点がありました。滑走路が必要なのです。飛行機が,大型になり,高性能になるに連れ,重量が増えていき,長大な滑走路が必要になって来たのです。
滑走を必要とせず,ぽーんとゼロ距離で離陸できる飛行機は作れんものか・・・。1500年頃,かの天才,レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチによるヘリコプターは,1937年初飛行のFW61に至ってようやく実用レベルのものとなりました・・・。しかし,ヘリコプターは,垂直離着陸ができるものの,遅い,燃費が悪いという欠点を持っています。回転翼が機体重量を上回る揚力を発生させ,これを若干傾けることにより推進力を得ているためです。最もポピュラーなガスタービンエンジン搭載のヘリコプター,ベル204(軍用名HU-1または,UH-1。B型は,陸上自衛隊でも使用されました。)は,初期の型では,1100hpのエンジンを搭載しながら第1次世界大戦当時の複葉機程度の速度しか出せませんでした。
そこで,離着陸時にはプロペラを上に向け,ある程度高度を上げたら,だんだんプロペラを前に向けて普通の飛行機のように飛ぶという固定翼機と回転翼機のいいとこ取りのような飛行機はできんものかと考えた人達がいました。(ドクター中松がティルトローター機を発明したと主張するTV番組を見たことがありますが,ティルトローター機を実現するための何らかの特許を取っていたのかもしれません。)
そりゃあ,ええわ。っていうわけでいろいろ試作機が作られたわけですが,ドイツのFa269は,機体の製作まではいかなかったし,アメリカのXV-3(1955),VZ-4(1957),X-19(1963),X-22(1966),XV-15(1977)フランスのノール500(1968),ドイツのEWR VJ 101(1963,これは,ジェット機)等は,実用まで計画が進まず,死屍累々。現時点で,実用機は,XV-15を基礎とするV-22系のみとなっています。

<実機について>
アメリカのベル・ヘリコプター社とボーイング・バートル(現ボーイング・ロータークラフト・システムズ)社が共同で開発したティルトローター機。初飛行は,1989年だが,予算の削減のため,開発が遅れ,ようやく,1999年4月に量産初号機が初飛行となった。OSPREYは,猛禽類のミサゴの意。オスプレイ,オスプレイと呼ばれているが発音はアスプリーに近い("ア"は,小さい"ア")。
現在,アメリカ軍で使われている輸送ヘリコプターCH-47やCH-53と比べ,積載量はやや劣るものの,飛行速度(565km/h)や航続距離(3,590km)は,1.5〜2.0倍という性能を誇る。
事故が多い機体だと言われているが,一般のパイロットが今までティルトローター機を操縦することがなかったことを考えると,操縦や運用のノウハウの蓄積が少ない故の事故ともいえるかもしれない。危険だから沖縄に本機を配備させるなという運動があるが,従来,海兵隊が使用していたCH-46は,原型機の初飛行が1962年,自衛隊に所属する同系列の川崎重工製KV-107IIの最後の1機が2009年に退役,という老朽機で,これをこれ以上使い続ける方がはるかに危険ではないかと思われる。
もちろん,本機の登場によってヘリコプターの活躍の場がなくなるということはなく,ティルトローター機よりも構造が簡潔で機種のバリエーションの多い利点を生かしてヘリコプターも永く運用され続けるだろう。

<キットについて>
・ハセガワがちょっとがんばると・・・
すごいです。スナップフィットで部品の合わせ目がほとんど目立たず,エンジンポッドが可動,デカールを貼るだけで窓枠の塗装は不要。コーションデータや機体に描かれたラインのデカールがしつこいぐらいに充実。組み立ててデカールを貼るだけである程度見られる完成品が得られます。
・・・って◯ンプラみたいではないですか!!
ここン十年来,プラモの業界は,BANDAIのガ◯プラにヤられ続けで,スケールキットのシェアが低下,売れ線以外はなかなか企画が通らず,豊富なラインアップを誇っていたキット群も新興メーカーの新キットに押されて相対的に商品力が低下,あぁ!!金型代が節約できるからって海外に外注するんじゃなかった・・・!!状態でした・・・が,ついに日本のメーカーの逆襲が始まったようです。
ハセガワさんもバーチャロンやマクロス関連,松本先生関連のキットで新たなノウハウを蓄積し,(これにかなり長い時間をかけています)やってくれるようになりました!!これは,うれしい!!
本キットのキャノピーの透明部品はすごいことになっています。薄いし,その弾性を利用して接着剤なしに本体とぴったり隙間なくくっつきます。
という具合にすごいキットなのですが,おそらく,全力を尽くしてこうなのではなく,余力を残してこうなのではないかと思われます。新キットの1/450"あたご"もすごいことになっているって言うし,ずっと前に垢出身にF-8クルーセイダーのキットをパクられ(1/48のキットを1/72にそのままスケールダウン)て以来,悶々としていましたが,ようやく溜飲が下がりました。
<仮組みしてみて>
仮組みをしていくと・・・あれ?・・・ほぼ,完成じゃん?
とはいうものの,注意点はいくつかあります。
・キャノピーの透明部品は,薄いので取り扱いに注意。製品の状態で他の部品と接触しないよう厳重にガードされています。マスキングしたり,マスキングテープを外したりするときに力を入れすぎると"ぱきっ"なんて悲劇が起こりそうです。
・プロペラ・ブレードは,実機同様,トルクを打ち消すために左右でピッチが逆になっています。左右を間違えると意地の悪い考証マニアに突っ込まれるので,エンジンナセルに取り付ける付け根のところ(組み立てると見えなくなるところ)にカッターで"L","R"と刻印を入れておくとよいでしょう。
・一旦,プロペラをスピナーにはめ込むと,取り外すのは困難です。取り付けられそうだったら試してみたくなるのは人情ですが,部品請求をしたくなかったら,プロペラをスピナーにはめ込むのは,最後の最後にしましょう。
・前輪式の機体ですが,一応,おもりなしでも尻餅をつきません。念のためにパイロットのフィギュアを乗せておくことをおすすめします。このフィギュアの中におもりを仕込んでおくと更に安心。コクピットは,がらんどうですからやりすぎない程度にディテールアップするのは良いかもしれません。無茶苦茶がんばって実機通りにしないと気が済まないと言う人もいるかもしれません。コンクールを狙うとか,一品豪華主義であるとかいうのでない限り,ほどほどにして別のことに青春を燃やす方が良いと思います。
・ランディングギアは,十分強度がありますが,前脚のはめ込みが少しきついです。あまりがんばると,破滅の音がして部品請求しなくてはならなくなります。五六式は,タイヤは最後までとっておくこと,前脚の取り付け穴をちょっとずつ広げて調整することをおすすめします。主脚は,カバーが入ってきっちり固定されるようです。塗装すると,合わせがきつくなるかもしれないのでここも調整が必要となりそうです。
・デカールは,2種のマーキングが選択できます。いずれもグレー系3色の迷彩です。グンゼの307番だの308番だの317番だの337番だの色見本を見てもほとんど違わんやないかぁ!!アメリカも,大国のくせに妙にこそこそこそこそ・・・男やったら,レッドバロンとかマッハバロンとか,ジョニー雷電とか,レギオス・ゼータみたく,赤1色でいかんかぁ!!(世の中厳しいので,そういうわけにもいかんでしょ・・・)五六式は,敢えて普天間基地の所属機にしたいと思います・・・赤いし・・・。