
<実機について>
地球防衛軍(TDF)ウルトラ警備隊主力戦闘機ウルトラホーク1号を補佐する大気圏内専用偵察/戦闘攻撃機。
最高速度マッハ3.5,乗員3名のVTOL機である。
マグマライザーやハイドランジャーを空輸している写真があるが,本機のデザインを踏襲して拡大化した別の機体のものだと言われている。機体規模も用途も異なる2つの機体に同一のデザインを採用するのは全く合理的ではないが,異星人がウルトラホーク3号の性能を分析・評価する際に混乱が生じるように意図されたのではないかと言われている。・・・恒星間航行できる異星人をそんなことで騙すことができるとは到底思えないが・・・。

<キットについて>
小型ビートルに続いてウルトラ・シリーズ関連のキット第2弾です。大手からのインジェクション・キットとしては,TV本放送時にマルサン商会からリリースされたもの(¥50の小さいの,結構良かったです。・・・後,マグマライザーの小さいのなんかは,絶品!!)以来,約45年ぶり(!!)の製品化となります。

今時のキットとしては,筋彫りや段差などの追加表現が無く,あっさりしています。これにがっかりするか,撮影用プロップの正確な再現として歓迎するかは個人の嗜好の問題でしょう。五六式は,どちらかと言うとがっかりしたくちです。救いは,組み立て易さを意識して設計されているところ。このことによってエンジン周りの塗り分けが容易になっています。
撮影用プロップには何種類かあったようで,その違いを再現するため,レ・ドームと水平尾翼が2種類あって選択できるようになっています。

・レ・ドームは,写真を見ても分かるように歪んでいます。あまりにひどいので部品請求しますと,ちょっとだけましになったものが送られてきました。お湯につけて力技でゆがみを直すか,段のところでばらして修正するか,基部以外を自作するか・・・。ときどきモデラーをがっかりさせるフジミの面目躍如ですね。
・上の写真で分かるようにジェット排気口や主翼など,各所にヒケが見られます。基本塗装は全面銀色なので,処理に手を抜くと目立ってしまいます。必要ならパテで凹みを埋めて表面処理をしっかりしてから銀塗装をしてやるとよいでしょう。
・飛行機なのに主翼や尾翼には,何の筋彫りも無く,のっぺらぼうです。方向舵も昇降舵もフラップもスポイラーも見当たりません。どうやって飛ぶのでしょうか?(まさか,超高空を飛ぶこともあるのでスラスターで姿勢制御するとか・・・?)特に,垂直尾翼に方向舵が無いのは,スケールモデラーには許せないのではないでしょうか?
・本機の特徴の1つでもある竹槍を束ねたようなロケット弾ポッド。先端は,開口してやるとよいでしょう。また,取り付けるためには,主翼を組み立てる前に取り付けのための穴を開けなければなりません。
・オプションで付く主翼下面のロケット弾ポッドを付けない場合は,取り付け用の穴を埋めるとよいでしょう。下から見たとき,ディテールが少なく間延びした印象になるので五六式としては,主翼下面のロケット弾ポッドは付けるとよいと思います。着陸脚用の穴は,・・・埋めないで差し替え式にするか,埋めて飛行状態として組むか・・・
・主翼上面のロケット弾ポッドを取り付ける前にデカールを貼っておかなければなりません。また,ジェット排気口は,最後に取り付けるようにしないと垂直尾翼が接着できません。これらのことは,きれいな完成品にするためには必要なことであるにも関わらず,組み立て説明書には,一切書かれていません。このキットに関しては,よく仮組みをして組み立てや塗装の手順をきっちり決めてから制作に取りかかることをお薦めします。
・・・現代のキットとしては,ちょっと配慮の足りない残念なキットではないかと言えます。制作者の入念な仮組みとアイテムに対する"愛"が必要なキットです。部品が少ないからとなめてかかってはいけませんョ。